
結論から言います。
水島・玉島地区にある昭和築の戸建て空き家は、条件が合えば「リフォームして貸す」という選択肢は十分ありです。
ただし、私は不動産業者として、
「空き家を壊すのはもったいない。きれいにして貸せば家賃収入になりますよ」
と簡単には言いません。
なぜなら、戸建て賃貸は入居者が入れば終わりではなく、そこから大家としての責任が始まるからです。
特に昭和の建物は、表面をきれいにしただけでは見えない部分にお金がかかるケースがあります。
水島・玉島では古い戸建てにも賃貸需要はある
水島地区は、水島コンビナートを中心とする就業者が多く、単身者だけでなく夫婦や子育て世帯などの住宅需要があります。
玉島地区も、新倉敷駅周辺だけでなく、玉島・乙島・柏島など広いエリアに住宅地があります。
倉敷市の令和8年9月時点の選挙人名簿登録者数でも、水島地区は約7.1万人、玉島地区は約5.2万人となっており、一定規模の生活圏が形成されています。
戸建て賃貸には、
「子どもがいるのでアパートより戸建てがいい」
「駐車場を2台確保したい」
「多少古くても家賃を抑えたい」
という需要があります。
実際、水島エリアでは築49年・3LDK・約76㎡の戸建てが月4.8万円、築28年・3LDKで月6.9万円という募集例があります。築21年の戸建てでは月8万円の募集例もあります。
玉島中央町では築24年・3LDKで月8.3万円という募集例もあります。
もちろん、これはあくまで現在の「募集賃料」の一例であり、実際にその金額で成約することを保証するものではありません。
立地、駐車場、間取り、建物状態によって大きく変わります。
では利回りはどのくらい期待できる?
例えば、相続した昭和の戸建てを所有していて、建物取得費は考えず、
リフォーム費用300万円
諸経費50万円
合計350万円
かけたとします。
月5万5,000円で貸せれば年間家賃は66万円。
単純計算すると、
66万円÷350万円=表面利回り約18.9%
になります。
数字だけ見ると、かなり魅力的です。
しかし、ここで「利回り19%なら絶対やるべき」と判断するのは危険です。
固定資産税、火災保険、管理費、入退去時の修繕費、設備交換、空室期間などを差し引けば、実際に残るお金はもっと少なくなります。
さらに昭和築の戸建てで怖いのが、予想外の修繕です。
本当に怖いのはリフォーム後の故障です
私なら、壁紙や床をきれいにする前に、
・屋根
・雨漏り
・給排水管
・給湯器
・電気設備
・シロアリ
・床下
・建具
・トイレ
・浴室
・キッチン
などを確認します。
なぜなら、入居後に給湯器が壊れたら、
「古い家なので我慢してください」
では済まないからです。
民法では、賃貸人は賃貸物件を使用・収益するために必要な修繕をする義務を負うのが原則です。
つまり、家賃をもらう以上、大家には責任があります。
・例えば真冬に給湯器が壊れる。
・トイレが流れない。
・雨漏りする。
・水道管から漏水する。
こうなれば、基本的には大家側が迅速に対応しなければなりません。
入居者の責任ではない事情で住宅の一部が使用できなくなった場合、状況によっては賃料が減額されることもあります。民法611条では、借主の責任ではない事情で一部が使用できなくなった場合、その割合に応じて賃料が減額されるとされています。
ここが「空き家を持っているだけ」と「賃貸経営をする」との大きな違いです。
「壊れたら借主に直してもらえばいい」は通用しない
もう一つ誤解されやすいのが原状回復です。
長年住んで壁紙が古くなった、畳が日焼けした、設備が経年劣化した。
こうした通常損耗や経年変化は、基本的に借主へすべて請求できるものではありません。
国土交通省のガイドラインでも、経年変化や通常使用による損耗は原則として貸主側の負担という考え方が示されています。
ですから、
「家賃5万円×12か月=年間60万円がそのまま利益」
ではありません。
家賃の一部は、将来の修繕費として残しておくべきお金です。
正直不動産としての本音。「貸さない方がいい家」もあります
私は、水島・玉島の昭和戸建てを全部リフォームして貸すことには賛成しません。
例えば、
300万円かけても家賃4万円台しか取れそうにない。
屋根、水回り、配管まで大規模修繕が必要。
駐車場がない。
道路が狭い。
再建築や将来売却に問題がある。
このような物件なら、リフォームして賃貸にするより、現状で売却する、解体して売る、自分で利用するという選択肢も比較すべきです。
逆に、
駐車場2台あり
学校やスーパーが近い
水島の勤務先へ通いやすい
建物の基本構造がしっかりしている
200~300万円程度の改修で貸せる
という物件なら、戸建て賃貸として面白い可能性があります。
大切なのは、
「いくらで直せるか」ではなく、「直した後にいくらで貸せて、10年間でいくら残るか」
を見ることです。
空き家活用は「貸せるか」より「大家を続けられるか」で考える
相続した実家を空き家にしておくのはもったいない。
これは確かです。
しかし、賃貸に出した瞬間から不動産経営になります。
入居者から家賃をいただく以上、安全に生活できる住宅を提供し、故障したときには対応する責任があります。
だから正直不動産では、
「リフォームすれば貸せますよ」だけではなく、「この家を本当に大家として10年持てますか?」
というところまで考えたいと思っています。
倉敷市白楽町、倉敷商業高校前で「正直不動産」を運営しています。代表の内川良太郎は、元倉敷市役所職員として27年間勤務した経験を持つ、相続専門の行政書士です。不動産の売却や空き家、相続手続を一体で相談できることを強みに、倉敷市共催の相続・空き家相談会も4年目を迎えました。
水島・玉島で相続した昭和の戸建てを「売るか、貸すか、壊すか」で迷っている方は、リフォームする前に一度ご相談ください。
家賃査定、売却査定、必要な修繕費を比較してから決める方が、失敗する可能性はずっと低くなります。




